鹿さん ボクシング編1

 

 

鹿さんは沢山の仲間に囲まれてサバンナの暮らしを堪能していました。

 

 

 

相変わらず肉食動物との駆引きは続いていますが、

鹿さんの居るグル-プは連戦連勝で犠牲者が全く出ていませんでした。

 

 

 

人間界でのライオンさんとの経験から、ライオン相手にでも紙一重で交わしたり、

交わしたと同時に前蹴りをお見舞いするなどの間に、

仲間は遠くまで逃げ切ってしまうのです。

 

 

 

しかし、人間界の経験がモノをいい、どのライオンよりも捕獲率は高く、

サバンナでも一目を置かれる存在でした。

 

 

 

持久力が無い分、風向きや歩幅などを計算し、地の利を活かしながら巧みに獲物を獲ていました。

 

 

 

 

その後、余裕の表情で鹿さん自身も、持ち前の持久力で逃げ切ってしまうのです。

 

 

ライオンさんはどうしているかというと、

 

鹿さんのグル-プには歯が立たないので、

 

別のグル-プを狙うしかないのです。

 

 

 

 

 

 

ある時、東京では有名で世界チャンピオンを何人も抱えている

「角蟹ボクシングジム」の会長がサバンナを訪れました。

 

 

野生動物からヒントを得ようとしたのです。

 

 

 

会長はすぐさま鹿さんに注目しました。

 

 

ガイドに「あの鹿は何かが違う!」と言い放ち、鹿さんに近づいて行きました。

 

すると、そこに突如ライオンさんが立ちはだかり、

 

「角蟹会長ですよね!弟子にしてください!」

と言いました。

 

 

ライオンさんは動物園に居た時に角蟹ボクシングジムの噂を耳にし、

 

ボクシングの技術を手に入れればそこにとんでもない可能性があるように感じていたのでした。

 

 

それは正に直感で、サバンナに帰ってから独自に練習をしていたくらいでした。

 

ですからこの瞬間の逃さず、

 

角蟹会長の姿を数キロ先から一瞬で見抜き、

 

気がつけば目前に走り寄っていたのです。

 

                                                  つづく