鹿さん ボクシング編5

 

それから一年が経ちました。

 

 

サバンナのボクシングジムは開設時の慌ただしさも落ち着き、

日々、サンドバックをたたく音と共に活気ある声が鳴り響いていました。

 

 

 

鹿さんはというと、毎日誰よりも早く顔を出すと、

 

仲間の周りを決まったリズムで何週も走っています。

 

そうかと思えば、今まで足を踏み入れる事をしなかった「ぬかるみ」にも入ったり、

 

スクワットをしたり、飛び跳ねたりと相変わらず自由に過ごし、

 

サンドバックには全く近づきもしません。

 

 

かれこれ半年の間、こんな様子です。

 

 

 

角蟹会長は一ヶ月に一度サバンナに立ち寄り、

 

鹿さんと挨拶を交わすとそれ以上は特に何も無く、直ぐに帰ってしまいます。

 

 

 

 

ライオンさんはと言えば、世界チャンピオン達に囲まれ、

 

最高の環境です。

 

しかし、入門してからチャンピオン達のスパーリングを間近では見られますが、

 

何も教えてもらえず、痺れを切らしていました。

 

オーナーのレイ・ウェザーはいつもニコニコし厳しさも無いが、

 

聞けば的確な答えをくれたり、デモンストレーションまでしてくれますから、

 

決して悪い環境ではありません。

 

ただ、教えてくれないし、練習メニューも提示してくれません。

 

ですから、自由にサンドバックを叩き、先輩に合わせてロードワークなどをこなす毎日でした。

 

 

 

 

角蟹サバンナジムでは会員も増えました。

 

皆「世界を目指す」という基準で入会を許され、

 

様々な動物達が汗を流しています。

 

フォックスさん、

 

ジャッカルさん、

 

ムジナさん、

 

ハイエナさん、

 

チーターさん、

 

水牛さんなども集まりました。 

 

 

 

                                              つづく